千葉大学 博士課程教育リーディングプログラム:免疫システム調節治療学推進リーダー養成プログラム

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治療学実習 2014年度 国内研修:ラクオリア創薬株式会社_名古屋 (2015年2月23日ー同年2月26日) 報告 2期生 薬効薬理学 清良 尚史

【研修要約】
 ラクオリア創薬株式会社が実際に保有している候補化合物を題材にし、非臨床研究からPhase Іまでの新薬開発について学んだ。具体的には、探索研究で得られた化合物のデータから最適だと思われる標的疾患を選択し、Proof of concept (POC) 得るために必要な非臨床試験、臨床試験デザインや原薬製造スケジュールなどを作成した。最終日に作成した開発デザインについてラクオリア創薬の社員の方や千葉大学の教員の方と標的疾患の選定や試験デザイン、製造スケジュールが適切であるかを議論することで、新薬開発について理解を深めた。
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最終日のプレゼンテーション

 

【印象的な研修内容】
 特に印象的な研修内容は、実際の探索研究のデータを基に標的疾患を決めたことである。なぜなら、ここが医薬品の承認申請を行う上で根幹だからである。そのためこの段階に最も時間を費やし、限られたデータから最も実現性の高い標的疾患はどれなのか、また医療現場のニーズに合った疾患であるか、さらに対象患者数や市場規模などを考慮し、グループで議論した。そして最終的に胃食道逆流症 (GERD) を標的疾患に選んだ。
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ダイアグラム

 

 

 

【研究活動への展開について】
 試験デザインをする上で最も難しいと感じた点は、エンドポイントの設定である。例えば GERD の場合、胃酸の逆流が抑制されたことをエンドポイントとするのか、または胃排泄が亢進されたことをエンドポイントとするのかを決める必要がある。基礎研究では特定の細胞内タンパク質の活性や発現レベルの変化を調べたり、特定の遺伝子をノックアウトしたモデル動物を扱った実験を行ったりすることが多い。
 しかしこの結果が必ずしも人の病態と結びつくわけではない。マウスでGREDを評価する場合、マウスは4足歩行動物であるため、人の胃酸の逆流を模倣するには限界がある。そのため基礎研究とのギャップが出にくい臨床試験をデザインすることが難しいことを今回の研修で感じた。
 今回、我々はエンドポイントを胃酸の逆流回数としたため、モデル動物とのギャップを埋められる良いデザインとは言えないとの指摘をいただき、良い返答ができなかった。ではこのギャップを埋めるために基礎研究にできることは、初期段階から臨床試験を見据えた研究を行うことである。これにより新薬開発期間の短縮にもつながるのではないかと感じた。現在私は結腸癌増悪に関与すると言われているタンパク質の機能解明を細胞レベルで研究している。
 今回学んだことを私の研究に当てはめた場合、健康な人のタンパク質機能を調べるだけでなく実際の結腸癌患者と同じ変異が起きているタンパク質を用いた研究を行う必要がある。今後はこれまで以上に臨床を意識した研究を心掛けたい。

 

 


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